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災害対策で電カルデータ 遠隔地バックアップ開始

徳洲会グループは、災害対策として電子カルテ(電カル)データのリアルタイム遠隔地バックアップを開始した。病院から離れた遠隔地にデータセンターを置くことで、病院周辺一帯に被害が及ぶ大規模災害時でも診療データを失うことなく、過去のデータを活用した診療が可能になる。バックアップシステムを開発した徳洲会インフォメーションシステム(TIS)は、電カルを設置している徳洲会47病院すべてに今年度中に導入する方針だ。

「将来的には、地理的に離れた2カ所のデータセンターでそれぞれバックアップを取り、より安全性を高めることも検討しています」と尾崎社長

電カルには診断結果や治療の経過、検査値、患者さんの保険番号や薬剤投与状況などさまざまな診療情報が入力されている。これは継続した診療を行ううえで欠かせない情報であり、徳洲会グループでは、各院で電カルデータをメイン・サブの両サーバにリアルタイムで保存すると同時に、記録メディアにも毎日保存。

しかし、TISの尾崎勝彦社長は、「ひとつの建物内に保存していると、数多くバックアップを取っていても大規模災害時にすべて壊れてしまうことがあります」と、遠隔地でのデータ保存の必要性を強調する。

尾崎社長が遠隔地バックアップの必要性を実感したのは、東日本大震災の時だ。被災した石巻市立病院(宮城県)は電カルデータの入ったサーバが水没し、診療情報を消失したものの、山形市立病院済生館と電カルデータの相互バックアップ体制を取っていたため、震災後20日程度でデータを復元することができた。

これを教訓に徳洲会グループは、電カルシステム導入済みの47病院すべてでリアルタイム遠隔地バックアップシステムの導入を決定。

まず昨年10月に八尾徳洲会総合病院(大阪府)、続いて湘南鎌倉総合病院(神奈川県)で試験運用を開始した。今年1月中にさらに9病院、2月に16病院、3月に20病院に導入し、今年度中に全病院へ配備する方針だ(表)。

バックアップシステム 導入スケジュール

災害時用サーバと立地データの早期復元の鍵

電カルデータはセキュリティの高い徳洲会グループ専用回線「VPN」のネットワークを介し、リアルタイムでデータセンターにあるテラバイト(TB)級の大容量をもつサーバ(31TB×2台、10TB×8台)にバックアップを取る(図)

災害時は、常時保存用とは別に用意している災害時用サーバ(5TB×2台)にデータを入れ、このサーバごと被災病院に持ち込んで使用。災害時用サーバをそのまま用いることで、データをハードディスクから現地のサーバに入れ直すという手間が省ける。

データセンターは山梨県に立地し、プロのセキュリティスタッフが24時間監視しており、建物は震度7に耐え、無給油で4日間稼働可能な非常電源も完備。しかし、同センターがバックアップ先として選ばれた最大の理由は、信頼性に加え、日本列島のほぼ中央に位置する立地条件にある。「データセンターは、価格や信頼性だけを考えれば外国でも良いと思われるかもしれません。しかし、災害時はネットワークがつながらない可能性も高く、データの早期復元には復旧スタッフがデータセンターに直接赴く必要があります」と、尾崎社長はアクセスの良さも重要だと指摘する。

石巻市立病院がわずか20日間で電カルデータを復元できたのは、データ保存先の病院と地理的に近く、スタッフの行き来が容易であったことが大きいという。「当システムは多くの工夫を取り入れており、復元は1週間程度、条件によっては2、3日で可能だと思います」と、TISの高橋則之・管理部部長は自信をのぞかせる。

徳洲会グループで最初に同システムを導入した八尾病院システム管理室の岸本賢一システムエンジニアは、「院内でもさまざまな災害対策を講じていますが、それでは補いきれないような大災害を考えた場合、遠隔地にバックアップがあると安心感があります」と、安堵の表情を浮かべる。

災害時の電カルデータ バックアップと復元方式

来年度は画像情報保存をVPNの2回線化も検討

同システムでバックアップを取るのは診療情報のみで、現段階では検査画像は保存されない。しかし、TISは来年度、画像情報保存に向けたシステム開発を本格化する方針。このためデータセンターのサーバの増設やVPN回線の2回線化などを検討中だ。

現在、バックアップシステムが使用しているVPN回線は、TISが提供している他のサービス(BIツール、薬品管理システム)でも使用しており、容量の大きい画像情報の送信には対応できない。たとえば湘南鎌倉病院の診療情報は全部で2TB程度だが、画像情報は40TB以上あると予測され、「20倍近いデータを送信・保存することになるため、他のサービスに支障が出ない形での導入を検討中です」と高橋部長。

東日本大震災では、電カルデータが消失したため、保険証の番号さえわからず受診に苦慮したり、常備薬の名前がわからず継続した医療を受けられなかったりしたケースがある。診療データさえあれば、仮にその病院での診療が不可能な事態になったとしても、他院に紹介状(診療情報提供書)を書くことができ、継続した診療が可能となる。

電カルデータ消失の危険性のある災害は地震だけではない。2011年9月には水害により、高砂西部病院(兵庫県)の地下部分が水没した。サーバ保管室が地下にある病院ではデータ消失の危険がある

徳洲会グループのTISは、診療継続に不可欠な診療情報の保存については利用料金を取らない方針(画像情報は各院に課金)。尾崎社長は、「災害医療に対し、私たちも最大限のサポートをしていきたい」と、グループの一員としての気概を見せていた。

徳洲新聞2013年(平成25年)1/28  NO.862 より

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